古老の掛け声で笑う丹生明神
どんな伝承か
笑い祭り、泣き祭り、悪態祭りといった変わった祭儀は、もとは呪文を唱えて神と問答したことに由来すると見られている。和佐の丹生明神で十月十七日、古くは十月の上の卯の日に営まれる神事はその代表である。当日、古老が柿や蜜柑などの果物を一つずつ竹串に刺したものを数千本こしらえ、大枡に挿し並べて中央に幣を立てる。これを捧げ持って進み、後ろには子供たちが行列を作る。一行が社前に着くと、古老がさあお笑いなされと声をかけ、居並ぶ一同が声を張り上げて笑うのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。