蒲原郡の夜に一里続く狐の婚礼の灯
どんな伝承か
越後名寄によれば、静かな夜に、提灯かたいまつのような火が一里あまりも切れ目なく連なって、遠くに見えることがある。いつ、どこと決まったものではなく、どこでもまれには見られるが、越後の蒲原郡ではときおり現れ、子どもたちはこれを狐の婚礼と呼びならわしているという。狐の仲間が口から気を吐くとその気が光るので、ごく当たり前のことだとも記している。著者はこれを、狐の嫁入りには提灯のような光が一里も続いて見えるという言い伝えの例として挙げている。
原典より
右何所にても希に雖有、蒲原郡中には折節有之。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。