米山の御鉢に舞う竜燈
どんな伝承か
『北越雪譜』二編に載る話。頸城郡の米山は山頂に薬師堂があり、女人禁制の山である。新道村の長、飯塚知義によると、ある年の夏、村の者を連れて米山に登り、山ごもりのための御鉢という所の小屋に泊まった。その日は六月十二日で、竜燈が上がる夜とされていた。酉の刻ごろ、どこからともなく光の玉が集まり、大きいものは手毬ほど、小さいものは鶏卵ほどで、蛍のような色をして御鉢のあたりを舞い巡った。馬のような形に見えるものもあった。鉄砲の名手が撃とうとすると、老人が竜神から薬師如来へ捧げる灯だとたしなめ、光は遠くへ飛び去ったという。
原典より
舞めぐりてしばらくもとどまるはなく、あまたありてかぞへがたし、—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。