法勝寺塔上で天狗が歌を詠む
どんな伝承か
古今著聞集の話。久安四年の夏のころ、夜になると法勝寺の塔の上で歌を詠む声がした。その歌は、自分がここを去ったなら誰がまた代わりにここに居るのだろう、なんと定めのない旅寝の草枕であることか、という意味の無常をうたったもので、天狗が詠んだのであろうとされた。著者はこれを、天狗が歌を詠んだ例として挙げている。
原典より
久安四年夏のころ、法勝寺の塔の上に夜ながめける歌。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。