浅草へ赤裸で降ってきた京の下男
どんな伝承か
文化七年七月二十日の夜、浅草南馬道の竹馬のあたりへ、二十五、六歳の男が下帯もつけない赤裸のまま天から降りてきた。銭湯帰りの若者が驚いて立ち去ろうとすると、男はそのまま倒れた。番屋へ舁ぎ入れて介抱すると意識を取り戻し、自分は京都油小路二条上る町の安井御門跡の家来伊藤内膳の下男安次郎だと名乗った。今月十八日の朝四つ時ごろ、嘉右衛門・庄兵衛とともに愛宕山へ参詣し、暑いので衣を脱いで涼んでいたところ、一人の老僧が来て面白いものを見せようと誘われて従ったまでは覚えているが、その後は知らないという。履いていた足袋は京都仕入れのもので、泥ひとつ付いていなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。