僧正坊が牛若丸に兵術を教える
どんな伝承か
天狗は兵法や武術にも通じているとされ、なかでも牛若丸の話はよく知られている。鞍馬山の奥には僧正が谷という所があり、岩に太刀で斬りつけたような痕が残っている。ここは僧正坊がかつて牛若丸に兵術を授けた場所だと伝えられる。天狗名義考はこれに続けて、近江の男が老僧に誘われて兵術を習った宗祇諸国物語の話や、武田信玄の家臣板垣信形が天狗と兵法を競ったという言い伝えを並べ、天狗というものはどれも剣術に秀でているのだろうかと結んでいる。
原典より
傳へ云ふ僧正坊會て、牛若丸に兵術を数へし所なりこ。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。