安芸広島の海上に現れた蓬萊山
どんな伝承か
享保十一年三月二十五日、安芸国広島の沖合の海上に蓬萊山が姿を現したと『泰平年表』は伝える。蜃気楼は土地ごとに呼び名が違い、厳島の辺りではこれを「ほうらい島」と呼んだという。同じころ同じ国の海では、縦も横も五尺ほどある比目魚のような大魚が獲れ、沖萬歳と名づけられた。著者は、この魚はヒラメの大きな種類か、そうでなければマンボウであろうと注を付けている。
原典より
享保十一年三月二十五日、安藝廣島海上蓬萊山出現。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。