管狐を切り出した町医伊藤尚貞
どんな伝承か
憑く狐には名のあるものがあり、管狐は信州・遠州・三州にいるという。信州のものは二十日鼠ほどの大きさで、尾は管を割ったような形をし、狐使いはこれを懐に入れて人の過去未来を言い当てるとされた。飯田町堀留の町医伊藤尚貞は、この管狐に憑かれた者を幾度も療治したと語る。狐は手足の爪の先から入って皮膚の内をめぐるので、まず指のあたりを縛り、体をたどって害のない場所へ追い込み、そこを切り裂くと毛の生えた小さな丸いものが現れる。潜む場所は瘤のように盛り上がるので分かるという。その家を探れば天井裏などに狐の死骸があり、尚貞は剥いだ皮を二枚ほど蓄えていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。