鯰の暴れで地震を察した本所の男
どんな伝承か
安政の地震の日、本所の篠崎某という者が鰻を取りに行くと、鯰がむやみに暴れて鰻が一つも取れず、ただ鯰を三匹取っただけであった。ふと地震があるのではないかと心づいたので、急いで家に帰り、庭に莚を敷いて家財道具を持ち出したところ、果たしてその夜に大震が起こったという。動物が地震を予知して移転するという話は今もあり、安政の大震のときには相模の浜へ多くの鰯が流れ寄ったとも伝えられている。
原典より
また、安政の地震の日、本所の篠崎某さいふ者が鰻を取りに行くと鯰が無暗にあばれて、鰻が一つもとれず、たいゞ鯰を三匹取つたが、…—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。