恋山の玉日女命と和邇
どんな伝承か
出雲風土記の仁多郡の条に見える地名の由来。郡家の真南二十三里にある恋山について、古老はこう伝えている。和爾(わに)が、阿伊の村に鎮まる玉日女命を恋い慕い、川をさかのぼってやって来た。ところが玉日女命は石で川をふさいでしまったので、和爾は恋しい女神に会うことができなかった。そのためこの山を恋山と呼ぶようになったという。著者は、わににまつわる恋の話は多いとして、この一条を引いている。
原典より
古老傳云和爾戀阿伊村坐玉日女命 而上到。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。