理由なく折れた勧学院の椎の木
どんな伝承か
『ある公卿の日記』として著者が掲げる天暦元年の記録によれば、この年の九月、勧学院の椎の木が何の理由もなく折れた。占わせたところ、公卿は身を慎むべきだという結果が出たという。この年は六月から三十歳以下の男女に疱瘡が広がり、九月には疱瘡の平癒を祈って大赦が行われ、僧百人を集めて仁王経を読ませるなど、不安な世相が続いていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・1973年(昭和48年))
『日本の妖怪』は、早川純夫が一九七三年(昭和四十八年)に著した妖怪史の読み物である。『出雲風土記』『日本書紀』から『日本霊異記』『今昔物語』、江戸の『新著聞集』などの随筆までの古典に記された妖異を、かかわりのある実在の人物や事件とともに古代から近世へ時代順にたどる。全八章で、引用は意訳を交えて『』でくくり、仏教談や霊験談、地方の民話はおおむね除き、第七章には江戸の見聞録から選んだ二十話を並べる。