戒名を書いてもらう盆の施餓鬼
どんな伝承か
寺院で行う盆の施餓鬼には、無縁仏よりも各家の仏、とりわけ新仏の供養に重きを置くものが多い。その例として著者は、兵庫県民俗調査報告『千種』から西播磨の千種町の施餓鬼を引く。千種町の各寺院では盆の施餓鬼の日が十五日・十六日・二十四日とまちまちであるが、檀家の人々はその折に家の仏の戒名を書いてもらい、お布施を出して拝んでもらうという。著者は、本来は恐ろしい餓鬼仏をなだめる行事だった施餓鬼が、家々の仏の供養へと変わっていった姿の一つと見ている。
原典より
十三 盆の祭り十四 高野の大施餓鬼十五 葬儀における水汲み十六 葬儀に見られる水第三章 葬祭の民俗一 葬と祭と二 遺骸の処理三 食物の供与—— 霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。