深夜に山上へ移されるウバさま
どんな伝承か
清水の森の山は、下清水の天翁寺という曹洞宗寺院を筆頭に、中清水と上清水の曹洞宗寺院と真宗寺院との共同管理になっている。行事は八月二十日の深夜、天翁寺のウバさま――三途の川のほとりにいて死人の衣服を奪うといわれる老婆――の像を、山上のウバ堂へ移すことに始まり、二十四日の明け方に終わる。清水部落の者は二十一日中に参詣を済ませてしまう習わしで、慈覚大師の教えによってこの行事を始めた当時から村人に与えられた特権だという。期間中は多くの僧侶が一堂に会して経を読み、施餓鬼を営む。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。