空の輿を送るカラダメシの葬法
どんな伝承か
徳島県西部の山地では、遺骸の埋葬と切りはなして霊魂だけの葬送儀礼を行う風があった。大歩危小歩危の峡谷にあたる山城町のうち、北半分が旧山城村で、『山城村史』にその記事がある。それによれば、遺骸はすぐ墓所に埋葬し、家では本尊の掛け軸をかけ、位牌の前で読経焼香したのち、葬列をつくって式場へゆくが、その中心は霊をおさめた輿にある。式場では輿を祭壇に置いて供え物をし、導師が引導を渡して式を終え、その後は僧侶と親族だけが墓所へ参る。この輿を用いる霊葬送は昭和十年頃から減り、昭和二十四、五年頃にはほとんど見られなくなったという。
原典より
昭和五十六年(一九八一)霊魂の行方* 民俗学研究所紀要五 3月カラダビをめぐって* 西郊民俗九四 3月なお残るカラダビ習俗* 西郊民俗九五 6月特異な霊送り習俗* 西郊民俗九六 9月忌の種類とその重複 祝火を中心に 西郊…—— 霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。