山姫の告げを破った杣の山崩れ
どんな伝承か
木曽の与川の川上では古いころ、百人もの杣が小屋を掛けて泊まっていたところ、この杉林だけは残しておいてくれという山姫様の夢のお告げがあった。それでも伐採に取りかかると大雨が降って山が荒れ出し、闇夜に水上の方から「行くぞ行くぞ」としきりに声がした。小屋の者たちが負けじと声を合わせて「来いよう」と言い返すと、たちまち山が崩れて皆押し流され、ただ一人だけが生き残ってこの顛末を語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。