年に一度着物を替えるくらわらし
どんな伝承か
九戸の大川目村山口にあった小倉家は、部落一円を宅地にした豪農で、先祖は久慈備前守の家老を勤めたといい、金銀財宝が山とあった。この家のくらわらしは年に一度、旧正月の十六日に着物を取り替える。十六日の夜、床の間に新しい着物を酒肴の膳に添えて供えておくと、翌朝には襤褸になった古い着物と新しい着物とが取り替わっていた。それを年々繰り返し、古着が十七枚もあるというのが家の自慢話であった。わらしの足音はぺたぺたという音で、主人だけが聞くことができ、異変のあるときはことに烈しかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。