鬼の酒盛りで瘤を取られた爺
どんな伝承か
山で木を伐っていた正直な爺が大雨に遭い、木の洞で休むうちに眠り込み、日が暮れた。そこへ鬼どもが入り込んで酒盛りを始め、爺は頬の大きな瘤を恥じながらも唄と踊りが好きなので仲間に加わり、上手だと褒めそやされた。鬼は明日も来いと言い、来る証しに形見を置いていけといって瘤を取り上げた。爺は喜んで土産と金袋を提げて帰った。聞きつけた隣の爺が瘤もないのに縮くっつけて出かけ、下手な踊りを嫌われ、質の瘤まで付けられて泣く泣く帰ったという。
原典より
話者 安部豊(山潟)山さ行ってね、正直爺さん木機してたんだね、したら大雨降ってきたんで、木のうつろさ入って休んでいるうち、うとうと眠っちゃったんだね。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。