菖蒲と蓬に隠れて蛇を逃れた男
どんな伝承か
欲深い男が、食わず寝ずに働く嫁を望んで迎えた。ある朝、博打から帰ると、嫁は釜に長い首を突き入れて飯を食っていた。驚いた男は無理に離縁し、嫁は自分は蛇だと明かして山へ帰った。名残を惜しんで後を追うと、嫁は蛇の姿を現して逆に男を追いかけた。追いつかれそうになった男が道端の菖蒲の池と蓬の草むらに隠れると、蛇は周りを回り、菖蒲と蓬がある限り呑めないと言って戻っていった。男は菖蒲と蓬を刈って戸口に挿し、これが五月節句の菖蒲挿しの由来になったと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。