女頭目が率いた盗跖窟の盗賊
どんな伝承か
楊枝村から一里近く登った所に、昔、盗跖窟と呼ばれた岩屋があり、高玉の青木葉村まで通じる長い洞門になっているという。古くは高貴な姫のような女頭目が率いる盗賊の巣で、大きな財宝を奪ったときは鎮守へこっそり供物を上げたので稼ぎの程が知れたが、被害を訴える者はなく、峠の旅人を襲うこともなかった。やがて世が移ると盗人も悪くなり、峠の旅人をたぶらかす者ばかりになったので、殿様が楊枝口と青木葉口の東西から取り囲んで巣窟を洗い、静かな峠道に戻ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。