家を七重に巻いた大蛇
どんな伝承か
昔、木地小屋では木地細工を若松の城下まで売って生計を立てていた。ある日、息子が城下へ売りに出たあと、老人が独りで留守居をしていると、日が暮れて戸を閉めたころ、家のまわりを取り巻いてミリミリと締めつけるものがあり、家が潰れるかと思われた。戸をわずかに開けて覗くと、米搗き杵ほどのものが二重に家をからんでおり、隙間から大きな鏡のような眼と裂けた口が覗き込んでいた。帰ってきた息子が声を掛けると老人は助けを求め、息子は鉞で、老人は山刀で切りつけ、二人がかりでようやく切り殺した。明かりをつけて見ると、家を七重に巻いた大蛇であったという。
原典より
昔、木地小屋では、木地細工物を若松城下までも売って生計を立てていたが、ある日、息子が城下へ売りに出た後、老人独りで留守居していた。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。