三把すげの深水と湖底の声
どんな伝承か
小平潟の東南、上戸浜に近い湖中に深水があり、三把すげと呼ばれている。近くの者が魚とりに舟を漕ぎ出すと、静かな湖上を快く進んでいた舟が深水の所でぴたりと止まり、いくら調べても動かない。すると水の中から、いくらあせっても舟は走らない、ここは深いので通るなという声が聞こえた。漁人は菅を三束持ち直して繋ぎ、錘をつけて下ろしたが、三束すべてを繋いでも底に届かず、竜宮でもあるのかと恐れて以後そこを通らなかった。小平潟天神の沖にも深水があり、舟を止められた佐藤家の主人が水中から響く上の句に下の句を付けると、舟は独りでに岸へ向かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。