岩弓川の竜の剣堀と大凶作
どんな伝承か
岩弓川の本流に梵天川が合流する地点から一町ほど下ると、竜の剣堀がある。吾妻山中津川の剣堀と同じく、大きな石に掘られたへこみに水が溜まり、どんな旱魃にも涸れたことがない。ここも石を投げ入れたり悪戯をすると雨が降るといわれ、堰上げや川払いの折にも注意して仕事をした所である。田植え前から日照りが続き、土用のしつけもできそうにないと見たある日、酸川野の某氏が一身を犠牲にする覚悟で剣堀へ出掛け、石を投げ入れるとすぐ振り返りもせずに逃げ帰った。二、三町も行かぬうちに大雷雨に襲われ、その後は変な雨続きの天候となって大凶作になったという。
原典より
岩弓川の本流に梵天川が合流する地点から約一町程くだると「竜の剣堀」がある。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。