川上菖蒲が見つけた川上温泉
どんな伝承か
およそ八百年の昔、源頼朝の臣下に渋谷土佐坊昌俊・武蔵坊弁慶・常陸坊海尊の三人の荒法師がいた。義経の宿舎を夜襲するよう命ぜられた土佐坊昌俊は、かえって弁慶に殺されてしまう。その一子天破は妻の川上菖蒲を伴い、親の仇を討つため弁慶を追って諸国を巡り、磐梯山の麓に着いたが、弁慶はすでに討死したと聞き、都へ帰る面目もなく、この地に留まって夫婦で斬取り強盗を働いた。ある夜、菖蒲の枕頭に白髪の老武者が現れ、悪事を止めるなら霊泉の出る所を教えようと告げる。菖蒲は悔い改めて山中を探し、湧き出た湯を自分の名から川上温泉と名づけ、天破の住んだ地を渋谷と名づけたという。
原典より
今を去る約八○○年の昔、鎌倉幕府を開いた源頼朝の臣下の中に三法師武者といわれていた渋谷土佐坊昌俊・武蔵坊弁慶・常陸坊海尊の三人の荒法師がいた。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。