芹が都に献じられた都沢の由来
どんな伝承か
いまの都沢は、もとを一ノ沢という村だった。この土地に生える芹は香りが強く、味わいも格別だという。あるとき都から下ってきた者がこれを口にして驚き、朝廷へ差し上げたいと大量に抱えて帰った。長い道のりを運ばれた芹は色が落ちていたので、都の人々は案じながら茹でてみたところ、緑が濃くよみがえり、香りも元どおりに立ったという。そのまま朝廷へ献じると大いに喜ばれ、産地はどこかと尋ねられて一ノ沢と答えた。すると、都で採れるものと変わらぬのだから以後は都沢と名乗るように、との仰せがあり、村の名が改まったと伝えられている。
原典より
都沢村は昔、一ノ沢という村であった。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。