難産を救った関脇の御姥様
どんな伝承か
岩館の城主だった関三河は長く子に恵まれず、麓山神社へ願を掛けてようやく妻が身ごもった。ところが臨月を過ぎても生まれず、妻は昼夜の別なく七日七晩苦しみ続ける。すがる思いで優婆夷の神へ祈っていると、夢に白髪の老女が立ち、呪文を唱えながら腹を撫でた。とたんに痛みは引き、男児が難なく生まれ落ちた。老女は霧か霞のように消えたという。妻は夢で見た老女の姿を絵に描いてもらい、寝間に祀って朝夕の膳を供え続けた。生まれた子は重郷と名乗って三河守となり、父の跡を継ぐ。信心の篤い人で、山の上では参りにくかろうと多留良の清水のかたわらに堂を建て、尊像を石に刻んだ。これが関脇の御姥様の始まりと伝わる。
原典より
昔、岩館の城主関三河、久しく子供が無いので、麓山神社に祈願を込めて身ごもることが出来た。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。