西行が引き返した小平潟の戻り橋
どんな伝承か
昔、西行法師が諸国行脚の途中、会津の小平潟に兼載という有名な歌詠みがいると聞き、歌競べをしようと訪ねて来た。松橋の村を過ぎて小平潟へ向かう途中、小さな川に差し掛かると、橋のたもとで子供たちが野苺を食べて遊んでいた。西行が苺はうまいかと問い掛けると、一人の子供が歌で返事をし、西行がさらに問い詠うと、たちまち歌を詠み返した。これを聞いた西行は、このような子供でさえこう詠むからには、師の兼載は前代未聞の歌詠みに違いなく、会ってもかなうまいと、そこから引き返した。それゆえその橋を西行の戻り橋という。今は区画整理で位置が変わっている。
原典より
昔、西行法師が諸国行脚の途次、此処は会津の小平潟に兼載という有名な歌詠み人のいることを聞き、是非逢って歌競べをしたいとて尋ねて来た。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。