風呂桶を押さえた怪け松
どんな伝承か
江戸中期の頃、長尾家の何代目かの神官のとき、御社の祭礼の前夜になって風呂桶が壊れ、沐浴ができなくなった。そこで土津神社の前の分家から風呂を借りることにし、下男に背負って来るよう言いつけた。下男は日が暮れてから分家へ行き、風呂を背負って土田堰に沿う小路を辿り、田中正玄の墓地へ入る曲がりから西へ十間ばかりの所にある松の木の根本で一休みした。いざ立とうとすると誰かが風呂桶を押さえているようで、どうしても立てない。誰だと怒鳴ると、松の木の上から「おまつだあ」と声がした。離せと言うとようやく立ち上がれたという。以来その松を怪け松と呼び、後に枯れて伐ったところ白骨が出た。
原典より
江戸中期の頃、長尾家何代目かの神官のとき、御社の祭礼の前夜になって、風呂桶が壊れ沐浴ができなくなった。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。