笑って飛ぶおかめの面
どんな伝承か
昔、ある夜、見祢村の人が磐椅の神官に用があって、庚申坂を昇り堰端に出て、堰に沿う小路を歩いて来た。すると堰の中を漕ぎ歩いて一緒に来るらしい水の音がする。こちらが急げば水の音も急ぎ、ゆっくり歩けば水の音もゆっくりし、立ち止まると音も止む。恐ろしくなって駆け出すと、神社の近くで道の上におかめの面が落ちていた。夜目にもはっきり見えたので拾おうとしたところ、面はスーッと飛んで薮の中に入り、こちらを見てゲラゲラ笑った。驚きあわてて左へ曲がれば神官の家なのに、戸惑って右へ曲がり、御供所の扉を叩いてしまい、ようやく気付いて神官の家へ飛び込んだという。
原典より
昔、ある夜見祢村の人が、磐椅の神官に用があって、庚申坂を昇り堰端に出て、堰に添って小路を歩いて来ると、堰の中を漕ぎ歩いて一緒に来るらしい水の音がする。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。