大鼠を退治した和尚の三匹の猫
どんな伝承か
ある職人が田村のさる寺へ仕事に行くと、住職が畳一枚ほどもある大きな獣の皮を敷いていた。何の皮か判らず和尚に尋ねると、寺を復興した先住が獲ったものだと語られた。先住は会津の人で、飼っていた猫を連れて行脚に出、荒れ果ててどの僧も五日と居つかぬこの寺に入った。猫は片時も傍を離れず、やがて口を開いて、この寺には大鼠がおり、須弥壇の下には白骨が積まれていると告げ、猫魔ヶ嶽の姉猫と伊達の霊山の妹猫を呼びに行くので七日は寺へ入るなと頼んだ。約束の日、三匹は手筈を決め、夜の勤行に現れた大鼠とその眷属をことごとく退治した。その大鼠の皮だという。
原典より
ある職人が田村のさる寺に仕事に行った。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。