鶴が教えたツルカンジキと男鹿岳攻め
どんな伝承か
高館を逃れた安倍宗任を追い、八幡太郎義家は糸沢へ軍を進めた。宗任は力尽きて横川の男鹿岳に身を隠したが、山頂に紫の雲がたなびくのを見た義家は、敵がそこに籠もったと察して攻めかかる。貞任は行く手を阻もうとウド沢に毒を流し、紅く染まった雪を降らせた。軍勢が難渋していると、一羽の鶴が蔓を輪に曲げたものをくわえて飛来した。紐を通して履くと雪の上を平地のように歩けたので、義家は全軍に同じ物を作らせ、ついに城を攻め落とした。その日が五月節供にあたるため、川下の横川では今もこの日は沢の水を使わないという。
原典より
八幡太郎が高館から逃げて出た安倍宗任を追って糸沢に軍を進めたので、宗任は力尽きて横川の男鹿岳に隠れた。—— 田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史)
『田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説』は、会津の田島町の町史のうち民俗を扱う巻の、伝説を論じた節である。針生・糸沢・金井沢・折橋などに伝わる岩魚の棲まない沢、ダイタンボウの足跡、弘法清水、竜燈、天狗隠し、河童駒引き、アズキトギなどの伝説を、土地の言葉を交えた語りで載せる。自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分けて動物・地形・地名・人物・幽霊・妖怪変化などの項を立て、各話のあとに伝説の型や会津の類例を論じる。