クダを二階で飼う家に嫁いだ女の死
どんな伝承か
山梨県もまたクダの地帯である。西山梨郡千代田村では、今はもう町に移住してしまったが、四、五十年前に下帯名部落に、クダを二階に飼っていると噂された家があり、敷島町から来ていた嫁が自殺した事件があった。同じ山梨でも北都留郡棡原村では、これを持っているとされる家が現在十二戸あり、それらの家では杓子で飯櫃の蓋を叩いて狐を呼び、家族よりも先に食事をさせるのだとか、朝、庭先などに遊んでいるところを見たとかいい、やはり婚姻を嫌っているという。クダは信州を中心に、駿河・遠江から南関東にまで及ぶ広い範囲で語られてきた。
原典より
西山梨郡千代田村では、今はもう町に移住したが、四、五十年前に、下帯名部落に、これを二階に飼っていると噂された家があって、敷島町から来ていた嫁が自殺した事件があった(昭和二十八年度民俗採訪)。—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。