落ちやすいノラ狐と落ちにくいクダ狐
どんな伝承か
クダの俗信は三浦半島を廻って房総半島にも入り込んでいたらしい。千葉県夷隅郡布施村では、人に憑く狐に二通りあると考えられており、ノラ狐は憑いても落ちやすいが、クダ狐は憑くと落ちにくいといわれていた。近隣では、横須賀市で九十歳で死んだ老婆がクダを飼っていたと語られ、安房郡にもクダの名があってエライほどの大きさだという。関東ではオサキの名が優勢でクダの語はほとんど聞かれなくなるが、南関東の一部にはこのように名残があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。