十五戸すべてが筋とされた上組
どんな伝承か
出雲地方の憑きもの筋の調査で、全村の調べがそろった村を部落ごとに見ると、平坦な農村では村の平均で四割前後に達し、部落によっては七割から五割という所も珍しくない。さらに細かく見ると、簸川平野の西南の隅にあるS村のX部落では、全八十五戸が四つの小組に分かれているが、そのうち上組は十五戸すべてが憑きもの筋とされ、実に百パーセントに及んでいた。出雲では小さな単位で数えると、こうした所も決して珍しくないという。
原典より
のみならず、これをさらに小分けしてみるときは、たとえば、S村X部落においては、全八五戸が四つの小組に分かれるが、その中の上組の如きは、全一五戸の全部が憑きもの筋だとされており、…—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。