権現様の投げ石と鬼
どんな伝承か
昔、博多湾の沖に鬼どもが住んでいて、ときどき博多に来ては悪事を働いて人びとを困らせていた。鬼どもは、博多湾にあと一つ二つ島があれば上がりやすいと考え、若杉山の麓の山を盗むことにして、大きな負子を二つの山に突き刺し、肩に担いで運び出した。これを見た太祖様は「その山を置いて行け」と、若杉山の頂きから大石を三つ、鬼の足元めがけて投げつけた。驚いた鬼は担いだ山をその場に放り出して逃げ、それが篠栗町の西の入口にある焼地山と丸山だという。投げられた石の一つは和田区へ行く道沿いの水田にあり、動かしてはならないと伝えられてきた。二つめは字幸町の水田にあり、今も彼岸に供養が続く。三つめの所在は不明である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌)
『篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異』は、筑前の篠栗町が編んだ町誌の民俗編で、その伝説の章にあたる部分である。鉾立山や若杉山の岩にまつわる神話と弘法大師の伝承、薬師・地蔵・観音の由来、平家岩や古井戸の伝説、狐に騙された話や狐憑き、狸の法座、大蛇や河童の話を、町内の古老の語りから集める。二十余の伝説を番号つきの項で並べて『筑前国続風土記』などの地誌や説明板の文を引き、狐狸の話と巷の話の項を続ける。