狸の投げ石と死んだふり
どんな伝承か
福岡県糟屋郡篠栗町の狸の話。夜の山道を歩いているとバラバラっと小石が落ちてくることがある。これは狸が下を通る者を寄せつけまいと山の小石を掻き落とすしわざといわれ、時に小石が物に当たってブーンと唸って飛んでくることもあり「狸の投げ石」と呼ばれた。また狸はよく死んだふりをするという。ある時、古老が裏山で柿の木に登って柿を食う狸を見つけ、棒で叩こうとしたが届かず、ふと思い出して「狸が死んだ」と大声で叫んで柿の木を叩くと、死んだふりをしていた狸は飛び降りて一目散に逃げていったと、笑って話したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異(篠栗町(編)・篠栗町誌)
『篠栗町誌 民俗編――伝説・怪異』は、筑前の篠栗町が編んだ町誌の民俗編で、その伝説の章にあたる部分である。鉾立山や若杉山の岩にまつわる神話と弘法大師の伝承、薬師・地蔵・観音の由来、平家岩や古井戸の伝説、狐に騙された話や狐憑き、狸の法座、大蛇や河童の話を、町内の古老の語りから集める。二十余の伝説を番号つきの項で並べて『筑前国続風土記』などの地誌や説明板の文を引き、狐狸の話と巷の話の項を続ける。