武士が斬りつけた肩切地蔵
どんな伝承か
白鷹町鮎貝の観音堂の下に大きな石地蔵がある。肩痛で悩む人が初牛蒡を供えて参ると治るといわれ、「肩切地蔵」と呼ばれている。昔、鮎貝のお城勤めの武士が夜おそく帰る途中、ちょうどここまで来ると、提灯を下げた召使いの女が「旦那さま、お迎えに来ました」と手を取らんばかりに近寄ってきた。いつも迎えになど来たことがないのにと訝りながら見ていると、所作が変であったので、狐狸妖怪の仕業と思い、腰のものを抜いて斬りつけた。提灯の明かりは悲鳴とともに消えた。急ぎ家に帰ると召使いの女はいつものように台所で働いていた。供の者を連れて先ほどの場所へ戻ってみると、大きな石の肩から脇腹に袈裟懸けの刀傷がついていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。