落城の煙から救われた乳飲み子
どんな伝承か
堂洞城が落ちたとき、城主岸勘解由の長男孫四郎には、まだ一歳の乳飲み子がいた。孫四郎は討ち死にし、城が炎に包まれるなか、絹丸村から来ていた乳母がその子を懐に抱いて逃げ出したが、途中で煙に巻かれて息絶えてしまった。乳母の親が亡骸を見つけて揺り動かすと、懐の中から泣き声が聞こえた。親はせめてもの救いと喜んで子を抱き上げ、人目を忍んで育て上げた。こうして生き延びたのが岸彦太夫だという。
原典より
乳母の親がその死骸を見つけ、ゆり動かすと、懐の中から泣き声がする。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。