見分森から四ッ柱へ向かう小夜姫
どんな伝承か
止々井沼に隠れた大蛇は口から火を吐きながら、毎年八月十五日に可愛い娘を一人差し出すよう胆沢の民衆に言い付けた。人々は相談して籤で決めることにし、その籤が義実の娘に当たった。義実は娘を贄に出すのが不憫で神に祈ると、小夜の中山という所に娘が二人いるから一人連れて来るようにとのお告げがあった。使いを出すと、姉娘は千五百両があれば母と妹が暮らせると考えて胆沢へ来た。八月十五日、小夜姫は見分森で胆沢を眺め、垢川で垢を落とし、尼坂で按摩をとり、化粧坂で化粧して止々井沼へ向かった。姫が四ッ柱の棚に登って一心に経を唱えると、大蛇の角や牙が落ちて倒れ、姫は土産を添えて故郷へ送られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。