荒武者の名を負う口広沢
どんな伝承か
口広沢は脇野沢と小沢の中間より小沢寄りにある沢で、規模が大きく、流域一帯に多くの支流を抱えている。河口には現在、焼却場と採石場がある。この沢をはるか上流へさかのぼると権左衛門の名を負う沢があり、口広沢一帯の山が荒山と呼ばれるようになった謂れが伝えられている。昔、この沢には口広権左衛門という武士が住んでおり、沢の名はその武士の名にちなんで付けられたという。ところがこの権左衛門は気性の荒い人物であったと伝えられ、そこから口広沢の一帯を荒山、あるいは荒い山と呼ぶようになったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。