水死人があがらぬと海が騒ぐ
どんな伝承か
文部省の迷信調査協議会の俗信調査で、漁業に関するものは二十六例あり、うち天候に関わるものが七例を占める。和歌山県宇久井(漁村)からは「水死人があがらぬと海が騒ぐ」が第五十例として報告された。同種の例には青森県八戸の「沖で口笛を吹くと風が吹く」、石川県七尾の「人が海へ落ちて死ぬと死体の上るまで海が荒れる」などがある。原典は、これら七例はいずれも「…すると」という前提と「…になる」という結果の間に合理的な因果関係を認めがたく、教訓や警告として漁師の最も恐れる海の荒れを引き合いに出したとも思われないと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。