ひしゃくをかつぐと雨
どんな伝承か
文部省の迷信調査協議会の俗信調査で、天候一般に関する例として長野県伍和(農村)から「ひしゃくをかつぐと雨になる」が第七十七例として報告された。原典では前条の「子供がお茶をのむと風が吹く」と同じ土地の例として(同右)の形で示されている。柄杓を担ぐという何気ない所作が雨を招くとするもので、同じ項には蟹が道に出ると大水、朝虹は雨で夕虹は天気、鳥が巣を高く作ると雨多し、といった例が並ぶ。原典はこれらを民間天気予報とも称すべきものと呼びつつ、理論的根拠を認めがたいものが大部分だとしている。
原典より
臼の神様へおまつりした餅を食べると縁づきがおそい 高知(農)臼の上に物をのせてはいけない・・・・・・高知(漁)櫛をひろうと苦労する・・・・・・大分(都)柄杓の水を反對にあけるな・・・・・・石川(漁)かまどの上に刃物をみだ…—— 日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。