死蛇の腹を上向きにすると雨
どんな伝承か
民間の天候にまつわる俗信を集めた報告の一例。福岡県糸島の漁村に「死んだ蛇の腹を上にしておくと雨が降る」という言い伝えがある。近くの仲原には「蛇が腹を上にして死んでいれば雨が降る」という似た例もあるが、両者を比べると興味深い。前者は、無気味な蛇が腹を上向きにして死んでいる異常な体位に何か異変を感じ、天候の変化に結びつけたものと解される。後者になると、蛇の屍体が天候に働きかける呪力を持つと認め、屍体の向きを変えれば天候までも左右できると信じている点に違いがあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。