雲州広瀬の狐持の家焼尽
どんな伝承か
各種の憑物現象は、地方によって犬神・人狐・狐憑き・クダ狐・オサキ・外道・トウビョウ・蛇神憑きなどと呼ばれ、その害は今なお甚だしい。その恐るべき害は天保元年の『人狐弁惑論』にも説かれており、近世においても雲州広瀬領内では、狐持ちの家を根絶しようと、いやしくもその世評のある家は、不意に外から囲って封鎖し、人馬もろとも一時に焼き尽くしたと伝えられているほどである。憑けたといわれる者も憑かれた当人も、自分の意志ではなく何の罪も犯していないのに、その家筋と目される者は一切の縁組を断られ交際も避けられ、憑かれた者は強烈な生理的障害を起こして苦しめられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年))
『日本の俗信 2――俗信と迷信』は、迷信調査協議会が文部省への第二回報告書として編んだ答申書で、まえがきに昭和二十六年十二月の日付がある。迷信の定義や時代性、俗信と生活慣習の区別を委員たちが論じ、食い合わせや守札、憑きもの、河童の名称の分布、迷信による殺人の精神鑑定例などを取り上げる。総論と座談会、各論、結婚・妊娠の迷信の解明、新聞の社説・投書を集めた附録の四章から成る。