災難よけと商売繁昌に分かれた不動
どんな伝承か
東京では、成田不動は災難よけの神、目黒不動は商売繁昌の仏だと言われている。著者はこれをとんでもないことだと退ける。多くの信者は不動尊の他力によって災難や病を払い、家内安全や商いの繁盛を得ようとし、はなはだしくは相場を当てたい、置屋や待合が儲かるようにと願をかける。本来の不動心は、悪をなさず善を行い自らの意を浄めるために己を鍛える教えであって、拝めば徳が天降るというものではない。寺のほうも節分の豆まきに俳優や力士を年男として雇い、守札や賽銭の売上げに励んでいると批判している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(迷信調査協議会・日本の俗信・1951年(昭和26年))
『日本の俗信 2――俗信と迷信』は、迷信調査協議会が文部省への第二回報告書として編んだ答申書で、まえがきに昭和二十六年十二月の日付がある。迷信の定義や時代性、俗信と生活慣習の区別を委員たちが論じ、食い合わせや守札、憑きもの、河童の名称の分布、迷信による殺人の精神鑑定例などを取り上げる。総論と座談会、各論、結婚・妊娠の迷信の解明、新聞の社説・投書を集めた附録の四章から成る。