枝がすれて燃えた太子の杉
どんな伝承か
細谷村の鎮守である聖徳太子堂は、もと合の田という旧村落にあった。村が街道沿いに移ってからも、その場所には太い杉が一本残り、細谷の耕道の中央に立って、根元からは冷たい清水が湧いていた。村人はこの杉を、伊勢参りをした杉と伝えている。あるとき大風が吹き、太い枝と枝がすれ合って火を発し、この杉は二晩も燃えつづけて根だけが残った。その根は昭和の初年まであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鏡石町史 第4巻 民俗編
『鏡石町史 第4巻 民俗編』は、鏡石町の町史のうち民俗を扱う巻である。第十一章「昔話と伝説」では、笠石・細谷・成田・久来石などのムラに伝わる木や坂・峠・祠堂・石にまつわる伝説を集め、伐ろうとした者が病んだ愛宕様の楓、鼻取り地蔵、和田平太胤長の妻にちなむ化粧が原などの由来を記す。伝説は木の部・坂峠山の部・由来譚・祠堂の部・石岩の部に分けて番号を付し、各話の末尾に話者名か『白河風土記』などの典拠を添える。