易断総本部で刺された高島象山
どんな伝承か
昭和三十四年十一月二十四日の夜九時半ごろ、易者の高島象山は神田駅前にあった高島易断総本部の待合室で、二十四歳の堂本利之に出刃包丁で腹を刺され、事務所の床を血に染めて死んだ。人の運勢をあれほど当てながら自分の剣難は占えなかったのかと世間は驚き、易者への信用は一時地に落ちたという。堂本は十七歳の折、伯父から高島派の術で盗みを見抜かれたと嘘をつかれ、以来その術に操られていると思い込んでいた。夢枕に立った霊者から、お前を苦しめているのは象山で実の父だと告げられたと信じ、四度も上京しては詰め寄っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。