「目一つ」の妖怪
どんな伝承か
阿部正路が一つ目の妖怪を論じる。田地を守り抜いた北国の翁が、死後、酒におぼれた子に田を売られ、夜な夜な目一つの黒いものとなって「田かへせ」とののしる「泥田坊」の話を挙げ、目が一つに集まった妖怪こそ真に恐ろしいと説く。その実例として『耳袋』の「奇体の事」を引く。文化九年、相州津久井の名倉村名主・源内所持の字谷向という芝地から、左眼を見開いた高さ一尺八寸ほどの奇体が掘り起こされたという。
原典より
子孫のためにいさ、かの田地をかひ置きて寒暑風雨をさけず時々の耕作おこたらざりしに、この翁死してよりその子酒にふけりて農業を事とせず。—— にっぽん妖怪の謎(阿部正路・阿部正路・妖怪学・現代(著述)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
にっぽん妖怪の謎(阿部正路・阿部正路・妖怪学・現代(著述))
国文学者・阿部正路『にっぽん妖怪の謎―古代の闇に跳梁した鬼・天狗・河童・狐たちは生きている!?』。日本の妖怪を文化史・文学史の視点で論じる。第1章では西遊記・酒呑童子・両面宿儺・赤鬼青鬼などの鬼、石ノ森章太郎やナウシカ・未来の妖怪、地獄の辞典、ケンタウロスを扱う。