一里塚に立っていた上根の下り松
どんな伝承か
八千代町上根の小学校の上の旧道ばたに、塚松または下り松と呼ぶ松の木が二本あった。高さは十六メートルと十八メートルで、雲伯街道の左右両側に植えられていた。広島からちょうど七里の地点にあたり、樹齢は三百年を経ていたといい、枝もよく繁って風景もよかったので、一里塚の生き残りとして多くの人が見物に来ていたが、昭和十三、四年頃に伐ってしまい今はない。「ここはどこよと馬子衆に問へば、ここは上根の下り松」という俚謡が残っていた。新道ができるまではこの旧道を多くの人が通り、峠の上には宿駅があって宿屋や荷を運ぶ馬がいて賑やかだったという。
原典より
『ここはどこよと馬子衆に問へば、ここは上根の下り松』という俚謡が残っていた。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。