四人の神主に憑いた野ギツネの大騒動
どんな伝承か
喜三郎が静岡の稲荷講社本部に滞在していると、穴太から至急親展の手紙が届いた。帰郷してみると斎藤の家の内外は人だかりで、多田こと、斎藤しづ、斎藤たか、岩森とくの四人の神主が、激しい神がかりのまま踊りまわっていた。喜三郎が調べると、多田には常富大明神と名乗る野ギツネの霊がかかっており、ほかの者も野ギツネや野天狗が憑依していると自白した。家の内外の人々は「上田はキツネ使いだ」「稲荷下げだ」と罵りはじめ、修行者の家族は娘を狂人にしたと騒ぎ出し、巡査まで出張して喜三郎を問い糺した。
原典より
喜三郎がしらべてみると、多田には常富大明神と名乗る野ギツネの霊がかかっており、ほかの者も、野ギツネや野天狗が憑依していることを自白した。—— 出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年))
『出口王仁三郎』は、村上重良が昭和四十八年に著した大本教の指導者出口王仁三郎の評伝である。丹波穴太村の小作農の家に生まれた上田喜三郎の生い立ちと修行から、出口直との出会いと大本教の拡大、大正維新と不敬事件、『霊界物語』の口述や入蒙、昭和神聖会と大弾圧、法廷での闘い、晩年までをたどる。「故山の夢」「道の大本」「人類愛善」の三章に分けて叙述し、巻末に略年譜と参考文献を付す。