桂岡に残る桂の巨木と大蛇
どんな伝承か
上ノ国町桂岡、愛宕の岡の麓には桂の巨木が一本だけ残る。周囲はことごとく田畑に拓かれたが、この木だけは枝を張って立ち続けている。昔、山奥の沼に千年棲んだという大蛇が村人の夢に現れ、海へ下ってさらに千年の行を積み竜になりたいので、根まで残さず桂を伐ってくれれば望みの物を礼に置くと告げた。同じ夢を見る者が続いたため村寄合が開かれたが、大蛇は大洪水に乗って海へ出るというから、伐れば上ノ国の全村が濁流に沈むとして、どんな祟りがあっても伐らないと決まった。木は今も天ノ川流域の村々の守りとされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。